「松が大量に伐られている理由」庄内砂丘の海岸林で今、何が起きているのか

読者さんからのメール。

宮野浦で松が大量に伐採されているのを見かけました。
一気に伐採が進んでいて正直不安です。

今後どうなっていくんでしょうか?

うん、付近を通りがかる人ほど気になりますよね…。

これを説明するとなると長ーーーい話になるのでなかなか記事化できていなかったんですが、農学部出身の編集部員サキ@ショーナイツウ!!が現地写真も含めてレポ解説!

現在あるクロマツの砂防林が形成されたのは戦後のこと。

戦中・戦後の燃料不足によって先代の砂防林が失われ砂丘が丸裸になり、再来した飛砂被害を抑えるため、戦後にあらためて植林が行われました。

そして、このクロマツの砂防林というのは植えっぱなしでは維持できないんです。(ドユコトーー)

松ぼっくりと種

マツは乾燥した荒れ地でもいち早く育つ植物ですが、林が茂って土が豊かになると、種から世代交代できないんです。

というのも、水分や養分が増えた環境では他の草や広葉樹に成長で負け、芽を出しても光を確保できず枯れちゃうんですね。
(案外繊細な松っちゃん。)

現在の海岸の松林を歩いても、植林されているもののほかはまったくマツの若木を見つけられないはずです。

これは植林された苗

昔はマツの木や落ち葉が燃料として使われ、伐っては植え、草が生えれば刈る、という形で松林は“マツにとってちょうどいい状態”に保たれてきたんです。

 

しかし現代

皆さんはマツの木や
落ち葉を燃料にお使いです?

(使ってないよなあ…)

 

それでどうなったかっていうとこう↓

見渡す限り全部枯れ木

植えっぱなし密植ヒョロヒョロの老齢マツだらけになった松林は、感染症に全然抵抗できなかったのです…

切られた松の断面を見ると、穴が空いているのが見られます↓

現在猛威を振るっている「松食い虫」の被害は、材木部分を食べるカミキリムシ&それに相乗りしてマツへの感染を広げている病原体(線虫)のあわせわざからなります。

線虫はマツが根っこから水を吸い上げる管の中で繁殖し、「ストローが詰まった」ようになったマツは水分が吸えず枯れてしまいます。

この木がないとこ全部伐採した跡

枯れたマツはもう元には戻らず、倒木の危険性や農業被害も出てるし、枯れ木にもまだ虫がいて感染を広げるので、いま大急ぎで伐っていますがそれでも追いついていない現状。

県では庄内海岸松原再生計画を策定、松林を守りたい場所とそうでない場所のゾーニングを行い、これ以上の被害の食い止めを図っています。

”そうでない場所”というのは「もう松林の世代交代はできないから広葉樹林になればよし」という割り切りをする場所です。

マツは放っておくと世代交代できない木なので、すでに他の植物がある程度育っているような場所は“なるようになれーッ”という割り切りもやむなしなんですね…。

読者さんからの声として、

私たちの先祖が植え、長年大切にされてきた樹木が急に伐採されていくのはとても残念

という声もありましたが、松林を維持するうえで本来大切だったのは、「植えたままにする」ことではなく、伐採と植林を繰り返しながら更新していくことでした。

今回の状況は、長年必要な手入れが行われてこなかった影響が表面化したものとも言えるかもしれません。

おそらく今後、海岸林のあちこちはゆっくりと松林でなくなっていくでしょう。

慣れ親しんだ風景が変わっていくのは寂しいものですが、人が松林を利用しなくなったときにはもうすでに決まっていた運命だった…とも言えるかもしれません。

たかまるさん、バカサバイバーさん
キングたくさん
情報提供ありがとうございました

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面白い・美しいフォト投稿

この記事はショーナイツウが現地での取材や公式発表等の一次情報をもとに執筆しています。

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